

乳がんの治療では、「手術」「放射線」「薬物療法」が主な柱となります。中でも**抗がん剤(化学療法)**は、多くの乳がん治療で重要な役割を果たします。しかし、「副作用がつらい」「いつ必要なの?」など、疑問や不安を持つ方も少なくありません。

この記事では、乳がんに対する抗がん剤治療の目的・使用されるケース・副作用と対策をわかりやすく解説します。
1. 抗がん剤とは?
抗がん剤は、がん細胞の増殖を抑える薬です。ただし、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えるため、副作用が起こることがあります。

乳がん治療における抗がん剤の役割
- 全身治療:手術で目に見えるがんを取っても、血液やリンパに流れた「目に見えないがん細胞」を退治するため。
- 再発予防:術後に残っている可能性のあるがん細胞を減らし、再発リスクを下げる。
- 進行・再発乳がんの治療:転移したがんの進行を抑え、症状を緩和する。
2. 乳がんで抗がん剤が使われるケース

抗がん剤は、すべての乳がんで使うわけではありません。以下の要因で判断されます。
- ホルモン受容体の有無
- ER・PR陽性(ホルモン治療が有効):抗がん剤は補助的
- HER2の有無
- HER2陽性:抗がん剤+分子標的薬(トラスツズマブなど)
- トリプルネガティブ乳がん
- ER、PR、HER2のいずれも陰性 → 抗がん剤が主な治療法
- ステージ
- ステージII以上でリンパ節転移がある場合や、腫瘍が大きい場合に使用
- 年齢や体力、全身状態

3. 抗がん剤の投与スケジュール
- 術前化学療法(ネオアジュバント)
- 手術前に腫瘍を小さくして切除しやすくする。
- 術後化学療法(アジュバント)
- 再発予防のために手術後に投与。
投与方法は、点滴や内服薬で、数週間ごとにサイクルを繰り返します(通常3~6か月)。

4. 代表的な抗がん剤の種類(乳がん)
- アントラサイクリン系:エピルビシン、ドキソルビシン
- タキサン系:パクリタキセル、ドセタキセル
- アルキル化剤:シクロホスファミド
- フルオロウラシル(5-FU)系
※HER2陽性の場合は、**分子標的薬(ハーセプチンなど)**を併用。

5. 副作用と対策
抗がん剤の副作用は、正常な細胞にも影響することが原因です。

主な副作用
- 脱毛
- 吐き気・食欲不振
- 白血球減少(感染症リスク)
- 倦怠感
- しびれ(末梢神経障害)
対策
- 制吐薬の併用で吐き気を軽減
- 感染予防(うがい、手洗い、外出時のマスク)
- 栄養・睡眠の確保
- ウィッグや帽子の準備(脱毛対策)
- 症状が強い場合は主治医に相談(減薬・スケジュール調整も可能)
6. 抗がん剤は怖い?命のための治療
抗がん剤は副作用のイメージが強く、「怖い」「やりたくない」と感じる方もいます。しかし、近年は副作用を抑える薬やサポート体制が整い、以前よりも負担は軽減されています。
大切なこと
- 自分の乳がんのタイプやリスクを理解する
- 医師と治療目的を共有する(再発予防?延命?)
- 治療の中断は再発リスクを高めるため、つらい場合は必ず相談する
まとめ
乳がん治療における抗がん剤は、再発予防や生存率向上に欠かせない選択肢です。
副作用はあるものの、対策やサポートは進化しています。
不安なことは、主治医やがん相談支援センターに相談しながら、自分に合った治療を選びましょう。

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